神奈川県湯河原町の 「光風荘」 へ行ってきました。
湯河原町は温泉街として有名ですが、温泉に入ったワケじゃありません。
今日は2月26日。「2.26事件」 が起こった日です。
2.26事件において、東京以外での唯一の舞台となったがこの 「光風荘」。
襲撃のターゲットとされたのは牧野伸顕(のぶあき)。

牧野伸顕は大久保利通の次男。明治時代は外交官として活躍し、
大正14年に 「内大臣」(天皇側近) に任じられると、宮中の権力拡大に努めまして、
西園寺公望と共に宮中をリベラルの一大拠点に築きあげます。
そんな牧野に対する昭和天皇の信頼は絶大なものがあったのですが、
リベラルな思想を持つ牧野は 「君側の奸」 として命を狙われていたのでした。
仕事で湯河原に行ったとき、ちょろっと 「光風荘」 へ寄り道してきました。
湯河原温泉観光協会の駐車場に車を停めまして、2分ほど歩くと着きます。
さすが温泉街だけあって観光風靡な場所です。時間があれば温泉に入りたかったな~。
「光風荘」 にはボランティアの説明員さんがいまして、屋敷の中を案内してくれました。
本当は屋敷内も写真に撮りたかったのですが、撮影禁止だったので残念ながら断念。

光風荘の外観

光風荘の玄関
牧野内大臣は事件が起こる直前の1935年10月に 「内大臣」 を引退。
1936年2月上旬ごろから東京を離れ、湯河原の 「光風荘」 に滞在しています。
2.26事件を起こす 「隊付き将校」 のメンバー達は、牧野伯爵もターゲットにしていたのですが、
その居場所をなかなか発見できなかったみたい。
それでも決行一週間前になって、牧野伯爵が 「光風荘」 にいるのを突き止め、
河野大尉が 「光風荘」 襲撃に名乗りを挙げます。
しかし河野大尉は当時、所沢陸軍飛行学校の操縦科学生であり、
決起将校たちの中では最も急進派でありながら部下がいませんでした。
そこで栗原中尉が自分の旧部下や民間人らを7人紹介し、
河野大尉は彼ら7人を率いて湯河原町に入り、2月26日を待つコトになったのでした。
まだ夜明け前の2月26日早朝5時。
河野たちは電報配達員を装って台所の勝手口から 「光風荘」 に入り、
牧野伯爵が寝ている寝室まで案内するように迫ります。
そのとき 「光風荘」 の中には牧野伯爵の警護を担当する皆川巡査がいました。
「何だこいつらは?怪しすぎる・・・・」
こう考えた皆川巡査は 「こっちですよ」 って言いながら、
牧野伯爵の寝室から逆の方向へと誘導。
しかし河野大尉はすぐにウソだと気付きまして、廊下で銃撃戦となります。
「ここがその銃撃戦があった場所ですよー」
ってボランティアの人が説明してくれました。
本当に普通の家の普通の廊下でしたけど、それが逆にリアルでしたね。
この銃撃戦によって皆川巡査は銃弾を受けて倒れ、河野大尉も負傷。
河野大尉は部下たちに担がれて外へ出まして 「光風荘」 に火を放ちます。
そのとき牧野伯爵は部屋で寝ていたのですが、異変に気付くとすぐに飛び起きます。
ちょうど一緒にいた20歳の孫娘が機転を利かせて、牧野伯爵に女モノの羽織をかぶせ、
数人の女中や看護婦とかと一緒に牧野伯爵を取り囲むようにして、庭へと脱出します。
庭に出ると、襲撃メンバーたちに見つかってしまい発砲を受けて看護婦が負傷。
あまりの事態に 「キャーキャー」 と騒いでいると、
負傷した河野大尉が現れます。
「何をしているかっ。女性を撃ってはいかん!」
そして丸くなって固まっている女性たちに謝罪します。
「誠に申し訳ありませんでした」
「はぁ・・・」
「ところで牧野伯爵の居場所は知っていますか?」
「いいえ。突然のコトでしたので」
「そうですか。失礼いたしました」
孫娘や女中たちが 「バレたら大変だ」 とドキドキしていたら、
騒ぎを聞きつけた地元の消防団が集まって来まして、
そのドサクサに紛れてなんとか牧野伯爵は脱出に成功したのでした。
「光風荘」 は全焼してしまい、中で負傷していた皆川巡査は殉職しています。
早くも事件の翌年には 「光風荘」 は同じ間取りで再建されたんだそうです。
けっこう 「光風荘」 の中には、いろんな展示物がありました。
皆川巡査の遺体の傍らにあった焼け焦げた万年筆。
河野大尉が自決に用いた果物ナイフ。
襲撃に巻き込まれてしまった牧野伯爵の孫娘が、戦後になって事件を回想した手紙。
当時の新聞・・・などなど。
当時の新聞をみると2.26事件の記事がデカデカと載ってたのですが、
湯河原の 「光風荘襲撃」 に関しては、ホントに小っちゃい囲み記事があるだけ。
「ここでの事件の扱いが小さすぎるっ」
ってボランティアの説明員が怒ってました。w
ちなみに事件に巻き込まれながらも機転を利かせて牧野伯爵を脱出させた孫娘。
その名は吉田和子。吉田首相の娘です。
後に麻生太賀吉に嫁ぎまして麻生和子となります。麻生首相の母親です。